2019年6月号(No.486)

高齢者・障害者の生活を支える住まい ──全国研究集会報告から

 

10年ほど前から高齢者や障害者に対する 国の施策が、大型入所施設から地域施設や 在宅にシフトチェンジして来た。社会保障 費の削減目的が背景にある。しかし、地域の 中で小施設や自宅で暮らすのは本来の姿で もある。新建会員はこうした地域施設や住 宅改修に以前から取り組んでおり、全国研 究集会でも多くの発表がされている。本誌 でも取り上げてきたが、多くの優れた実践 が報告集に埋もれている。本特集はそれら の拾遺である。小さくてもきらりと光る建築行為は、50周年に向けての新建の大きな 財産である。

 

 

 

◆新建のひろば

◆連載

 

主張


岐阜支部・愛知支部合同企画 - DIY WORK SHOP

  日時:2019年3月21日(木)  

  場所:加藤住建産業

  参加:9名

 

 3月21日(木・祝)午後一時から、会場は岐阜支部の(有)加藤住建産業・加藤寿泰さんの事務所・工房にて、ワークショップを行いました。 

加藤さんのお子様も参加してくれて計9名で行いました。参加予定で、残念ながら当日来られなかった方も2名ほどいらっしゃいました。

・少し磨くとほどよい艶と馴染みが出ました。使いこむとさらに「味」が出るようです。最後に完成作品を並べて、参加者で集合写真をパチリ。おみやげに、加藤住建産業ステッカーをいただきました。 参加者のみなさんの感想です。「加藤さんの仕事場見学で自分にはなかった引き出しが加わりそうな感じもあり、良い体験をさせていただきました」「自分でも作ってみると作る人の気持ちから、また新たな風景が見えてくるのではないでしょうか。いや〜楽しかった」「DIYは、好きでチョイチョイ箱物をつくりますが、いすは難しく今までトライしていませんでしたが、できました。指導して下さった加藤さんのおかげです」「組み立て、塗装などすべての工程を自分で作業することで、短時間でも作品に愛着がわきます。他の小物も作ってみたくなりました」「木工はたのしい!でした。ドリルで穴をあけることや塗装も簡単にできそうだけど、意外に難しいと思いました。ものづくりはおもしろい」 中部ブロックセミナーや犬山研究集会で愛知・岐阜・三重支部とも交流が深まるなか、近隣支部との合同企画ができてとても良かったと思います。そして、参加者の女性の一人がこの企画を経て、新建へ入会してくれました。

(愛知支部・黒野晶大)

 

別れてワークショップを行いました。加藤さんは、「設計者も、時々工作をして木による違いとか細工のむずかしさを味わって、仕事に活かしてほしい」と言います。加藤さんや加藤さんのお子様に指導を受けながら、わいわいと工作し、初めて触る機材や道具や塗料の感触とともに、楽しい時間を過ごしました。愛知支部の河合さんは大工なので、風景は仕事場そのものでしたが、みなさん細かく面を取る作業とその手元を見る目は真剣そのものでした。そして、塗装乾燥中の休憩には、梅の花と山々が見える工房のソファでコーヒーをいただきました。乾燥後、仕上げにステンシルシートを貼り、3月21日(木・祝)午後一時から、会場は岐阜支部の(有)加藤住建産業・加藤寿泰さんの事務所・工房にて、ワークショップを行いました。加藤さんのお子様も参加してくれて計9名で行いました。参加予定で、残念ながら当日来られなかった方も2名ほどいらっしゃいました。企画前に駅から少しぶらぶら歩き、各務原市役所前の駅近くの図書館のある広場も立派で、グリッドが組んである海外のような雰囲気のある穏やかな場所でした。 企画の最初に、加藤住建事務所にて加藤さんのつくる家のコンセプトや事務所内の内装についてお話しをうかがいました。

長野での中部ブロックセミナーの発表では古着ジーンズとともに経年変化による「味」についてなどお話しいただきました加藤さんですが、事務所内も加藤さんの頭のなかをそのまま空間にした内装が広がっていて、参加者みなさん、興味津々で眺めていました。今後の企画住宅や、工房の有料貸出しのことなどお話しいただきました。参加者からの質問では、そもそもカリフォルニアスタイルなどに興味を持たれたきっかけはなんだったのかなど出ましたが、話が尽きないのでそろそろ工房へということで……。 事務所の隣の工房には、たくさんの機材や道具や塗料などがそろっていて、木の貯金箱とロールアップチェアの2コースに


都支部 - 連続実践報告会「新建叢書を語る」

  日時:2019年3月29日(金)、5月8日(水)  

  場所:ひと・まち交流館

 

2019年3月29日(金)、ひと・まち交流館の地階にある景観まちづくりセンター・ワークショップルームにて「連続実践報告会-新建叢書を語る」の第1回が開かれました。昨年出版した新建叢書を題材に3回シリーズで行おうという企画です。参加者は11名でした。

 第1回としてまず久永さんが、「京都計画88から京都駅市民設計案づくりにいたるまちづくり運動の歴史を振り返るお話をされました。まだ若かった新建京都支部││﹁連続実践報告__京都支部の有志と片方先生を中心とする京大建築学科の大学院生が、京都の将来像をさまざまな側面から議論検討した熱気が語られました。また百足屋町マンション計画に対する市民側の対案模型や、「二条の森」構想の模型、京都駅の市民設計案の模型など、運動への参加者の想いが伝わる写真が紹介されました。私自身振り返って、京都駅やポンデザールの際の市民の運動の盛り上がりを懐かしく思い出しました。 中林先生からは京都市内では貴重でまとまった大きさの公園である梅小路に、中途半端な水族館を造ってしまった京都市の都市計画政策への疑問が語られました。また世界各地の町並み景観や京都市内の写真を通して、歩行者をメインとする街の賑わいの形成にとって、4階建ての町並みの大切さを指摘されました。街路の幅と町並みの高さの比も関係するとは思いますが、4階建てというのは歩行者と街の人々とのコミュニケーションをはかる上で、ヒューマンで適度なスケールなのかもしれません。ただ京都市が街の賑わいの形成を理由のひとつに、景観条例の高さ緩和を検討しているようですが、議論の経緯に注目してゆく必要がありそうです。 報告会後は参加者全員で円山公園に繰り出し、田中さんの豪華な花見弁当に大いに盛り上がりました。

(京都支部・宮本和則)

 

「連続実践報告会―新建叢書を語る」の第2回目は5月8日(水)に開かれました。参加者は17名でした。 新建叢書の第Ⅱ部は「歴史的街区や既成市街地での居住様式の再生・継承」として、町家の保存やコーポラティブハウスなどを取り上げています。今回の実践報告会では、「町家に暮らす・コーポに暮らす」をテーマに、二つの事例の報告を聞きました。前川さんの「京町家の伝統工法による改修」と、川本さんの「コーポラティブハウスの暮らし」です。 前川さんは「京都市京町家耐震診断士派遣事業」で町家の耐震診断を数多く経験していて、診断結果はほとんどが「危険ゾーン」ということです。なんらかの耐震改修が求められているのですが、実際はなかなか進まないのが実態のようです。前川さんの診断した町家で改修までいったのは14%程度。京都市内には4万軒ほどの町家が残っていますので、改修の必要性は切実です。 川本さんはみずから関わった6つのコーポの概要を報告。ユーコートを除いてほとんどが既成市街地での小規模なコーポです。そのうち5つのコーポから住み手が参加してくれて、コーポの今の暮らしを語ってくれました。別項で詳細が語られると思いますので詳しくは紹介しませんが、築後2年から34年まで、それぞれに違う歴史を背負いながら、コーポのなかでの暮らしだけでなく、外(地域)との関係づくりの豊かさを感じさせました。コーポをつくるときの重要なテーマである「コモンスペース」が人や地域との関係づくりにいかに役割を発揮しているかを実感することができました。 いつものように、終了後の懇親会でさらに話が盛り上がりました。第3回目の実践報告会は「地域密着の施設づくりビジョン」をテーマに、6月28日に予定されています。

(同・久永雅敏)


福岡支部 - 新建花見2019

  日時:2019年4月2日(火)  

  場所:舞鶴公園、サイサイ

  参加者:お花見7名、懇親会15名

 

今年も新建の花見が4月2日に満開の舞鶴公園で行われました。いつも通り、福岡城跡の上之橋御門前に18時に集合。参加は、大坪、片井、新谷他4名の計7名。まだ明るいなか、お堀の上にある桜の木の下でそれぞれに持ち寄ったビールとおつまみで花見のスタート。

少し酔いが回った後、舞鶴公園内の夜桜を愛でながらそぞろ歩き。城内には去年、福岡市立美術館が所蔵する草間彌作の「かぼちゃ」が置かれ、夜桜と現代美術によるシュールな空間を醸し出していました。美術館が改修中のためイベントに合わせて置かれていたのでした。 城内を抜け、近くの沖縄料理「サイ・サイ」まで移動していよいよ花見の本番。お店での合流もあり参加者は15名程度に増加。肴は、片井さんと渋田さん昨年の秋に行ったチベット旅行のスライドとトーク。片井さん得意のモバイルプロジェクターによる貴重な写真とお話しでした。 チベットのラサ。私も片井さん同様、学生時代から河口慧海、多田等観、ハイリッヒ・ハラー、木村肥佐生、高橋一二三などのを読み、いつかは訪れたい憧れの地でした。その一方、西藏鉄道開通後によって急速に進む漢民族化に懸念を抱いていたため行くことを躊躇していました。そのため、片井さんからこのツアーに誘われた時は、すでにチベット行きよりパキスタンからタクラマカン沙漠へ抜ける旅を優先して申し込んでいたため一緒に行くことはできなかったのでした。片井さんのスライドから映し出されるラサの姿は、テレビで見ていてある程度予想されていたとはいえ、やはり少し辛いものがありました。ディズニーランドのようにライトアップされたポタラ宮、そしてその手前に建つチベットとはなんら関係のない近代的なビル。憧れのラサから、チベットの文化が徐々に失われつつある様子を改めて知る結果となりました。これは、私が訪れたウィグル自治区の西の果て、かつてのシルクロードの交易都市カシュガルやホータンでも同じでした。ウィグル自治区の首都のウルムチは、高層ビルが立ち並ぶ近代都市であり、西域の雰囲気はあまり感じることはできません。 興味深い話しに、せっかくの沖縄料理はあまり覚えていませんでした。片井さんは、今年は敦煌と七彩山へ行くとか……すごい行動力です。来年の花見は、敦煌の報告を肴にまた楽しむことにしよう。

(福岡支部・照井善明)


東京支部 -新建設立50周年

       東京現地実行委員会 第1回準備会

  日時:2019年4月9日(火)  

  場所:都市まち研  参加者:16名

 

来年、新建設立50年を迎え、秋に記念行事と研究集会を東京で開催することが決まっています。振り返れば、設立2030・40周年行事45周年も東京で行いました。40周年の時は「建まちセミナー」と組み合わせて開催しました。 

 まずは、実行委員会準備会という形で一歩を踏み出そうと、支部幹事を中心に呼びかけ、4月9日(火)、都市まち研で第1回東京準備会を開催しました。参加者は16名で、活気ある意見交換がされ、会議の後は同じ場所で喉を潤しながら、懇親を深めました。 私が、開催にあたり暫定の事務局長を引き受けた関係から、「50年の歩みを深め、次の50年を望しながらこれから1年間取り組んでいきたいと考えています。100周年はここでは澤田さんが頑張ってくれ、私は手を引かれているという微笑ましい状況になればうれしいです。随分飛躍した話のようですが、これからを意識して、いっしょに歩んでいく人を増やしていくことが、次の歴史をつくっていくことと思っています。50周年は、新建を創った人たちと若い会員が時を一緒にできるチャンスでもあります。各支部が50年という節目をきっかけに支部の活性化、そして新建全体のエネルギーになることが大事です」とあいさつをさせていただきました。 自由討論では、藤本昌也さんから「『新建の会員たちはどうやって食べて行ったらいいのか』ということです。『食べていく』というのは、『カネ』をもらって、かつ、『職業人』として仕事ができるということです。新建は『今だけ・金だけ・自分だけ』という現代の風潮とは違った『ぶれないスタンス』があり、時代が変わっても共通している『思想』のようなものがあるのではないかと思うのです。住民に対してはわれわれが『先の見える話』をしてあげないといけない。今は『変わり目』で、50 周年は『歴史』を読み解き、『新しい時代』を拓くというスタンスに立つことだと思います」。 岡田昭人さんからは、「つい先日私の事務所で重要な会議がありました。事務所の若い人から、『仕事をしていても先が見えない』という問題提起があって、それなら徹底的に議論しようということで丸一日議論しました。当然結論は出ないのですが、『住宅あまり・空家問題』『資源は大切』『大量建設はない』『住民・市民の暮らしを支える施設をつくる人を支えねばならない』『まちの主体をつくっていく仕事に頑張ろう』というような点で合意に達しました」。 澤田大樹さんは「1969年は私の父が生まれた年です。私は藤本さんのつくられた年表でいうとバブル崩壊後に生まれました。そんな年齢ですが今日聞いた話はすべて面白かったです。私は住宅に関心を持っていますが、今、若者が考えていることを実現したいし、老若でいろいろなことを話し合いたい、この『50周年』の企画自体がそういう場になってくれることを願っています。今日のように、聞くだけでなくワークショップのような意見交換ができる場にしたいです。私も発信をしたいと思っています」。 松木康高さんは、「今日の集まりそのものが出席して楽しいし、勉強になりました。今後もできるだけ出席したいと思います。ただし、私は43歳ですが、同世代の状況を見ると、気持ちはあってもなかなか出席できない方も多いと思います」。 参加者全員で日程調整をし第2回準備会は5月30日になり、みなさんの推薦で松木さんと澤田さんに準備会事務局長を引き受けていただき、暫定事務局長の大役を果たすことができました。

(東京支部・山下千佳)